Native Dancer評価:★★★★★
最初から、ミルトン・ナシメントのファルセットが 聴けるように・・・これは、彼と共に作ったアルバム! なので・・・ジャズだけど、ブラジル音楽でもある ウェイン・ショーターのサックスは涼しげで・・・ ミルトン・ナシメントの声もクール・・・暑い日に ビールなんか飲みながら、聴きたいアルバム! |
Schizophrenia評価:★★★★★
ショーターのアルバムの中ではどちらかと言うとマイナーな部類に入るが、ここでも彼独特の作曲センスは遺憾なく発揮されているし、メンバーも大御所6人が参加しており、なかなかの聴き応えのあるアルバムだと思う。中でもTOKYOJAZZで演奏された「GO」や美しいバラード「MIYAKO」は必聴! |
Super Nova評価:★★★★★
Wayne Shorterのアルバムに駄盤はないと考えるが、その中でも屈指の傑作である。何かとMilesの"Bitches Brew"や"Water Babies"との類似点が語られることが多いアルバムであるが、明らかにサウンドは異なるものであり、ここに収められたのはまさしく"One & Only"のものである。冒頭のタイトル曲からして、異様にテンションが高いが、その緊張感が全編を通じて維持されている。サウンド的にジャズの初心者には薦め辛いところはあるが、Shorterのソプラノ・プレイの到達点と言うべきアルバムであるとともに、歴史に残る名盤と言えるだろう。尚、次作"Odyssey of Iska"は本作と同一コンセプトで作られており、そちらも本アルバムと対にして聴きたい傑作。蛇足ながら、Chick Coreaがドラムス、パーカッションに専念して参加しているのが珍しい。 |
Speak No Evil評価:★★★★★
ショーター・カルテット来日しましたね(2004年2月)。70を超えても相変わらず元気そうで、ファンとしては有難いことです。しかしショーターについて語られる時、何で日本では『JuJu』や『Night Dreamer』の方が、このアルバムより先にくるのかは、私には分かりません。2つとも無論5っ星ですが、ショーターの決定打はやはりこの『Speak no Evil』れでしょう。同時期のマイルス・コンボの一連の作品はもちろん凄いですが、あれは天才プレーヤーばかりが集まった、レアル・マドリーのサッカーみたいな作品群です。その背後にある方法論・アプローチがより明確に打ち出されているのは、ショーターのこのアルバムだと思います。サッカーで言うと、アーセナルとかデポルティーボのコンパクトで機能美にあふれたサッカーの楽しさ・美しさです(って自分で書いていても、良く分からない説明)。ジャズに非日常的なカタルシスを求める人は、マイルス・コンボやコルトレーンの方を好むのかもしれません。しかし個人的に日常的に聞くのは、このアルバムや『Adam's Apple』、『Schizophrenia』、それにハービー・ハンコックの『Maiden Voyage』、『Empyrean Isles』といった作品の方です。 |
JuJu評価:★★★★
ジャケットが妙に印象的。竹やぶ(?)で何を思うのか、ショーター。ブルーノート二作目となるアルバムだが、この時期の作品としては、最も充実した内容となっている。−のタイトルは、日本人としては、複雑な気持ちになるが。このアルバムを聴くと、ショーターがコルトレーンの影響から、早くも足を踏み出していたことが、よくわかる。その好例がタイトル曲−や、−、そしてジャズ・ロック調の名曲−だ。全曲自作。ショーターのテナーはちょっとフラついたかのような、独特のフレージングに特徴があるのだが、その特質を生かすための曲を、ちゃんと書いている。コルトレーンよりも、リアリストなのだろう。言ってる事は「宇宙」とか「運命」ばかりなのだが。サイドにあえてコルトレーン・カルテットのマッコイ、エルヴィンを連れてきているのは、実験なのか、挑戦なのか。 |
1969マイルス評価:★★★★
正直いうと、このアルバムはセールス的にも最高傑作「Bitche's Brew」からの名曲が聴ける点が好きなのだけれど、途中のキーボードのソロは多少退屈だと思っています。ファンとしては、Miles runs boodoo downやFootprint(マイルススマイルズより)、Sanctuaryのイントロをマイルスが始めるだけで、ゾクッとします。 |
マイルス・イン・ベルリン評価:★★★★★
暑さをしのぐには、どうすればよいか? 短パン、Tシャツでバケツに足を突っ込んでスイカを食べるのもよいが、思いっきりドレスアップしてリゾートホテルのプールサイドで、パラソルの下、トロピカルなカクテルをすするのも、マタよい。 で、本作は、後者の涼しさにぴったりハマる作品だと思う。 マイルスのクールなトランペットと、ハービーハンコックのピアノが、す−ッっと汗をぬぐってくれる心地よい風のよう。 ライブ盤の雄「フォア アンド モア」はむしむしする熱帯夜に、眠ることをあきらめてビールをかっ喰らうのに最適だけど、これは夏の昼間に、ソファに寝そべりながらうとうと聞くのに最適。 暑い季節にはぜひ! |
The All Seeing Eye評価:★★★★
ショーターのアルバムでもっともコマーシャルな要素が少なく、難解な作品と評判なので、どんなフリージャズかと思ったら…。 …で、実際に聞いてみると思いの他良い!曲を再現していく為の演奏じゃなくて、演奏しながらイメージを構築していく感じ。だから先の見える退屈さや堅苦しさが無いのだ。演奏がフリーというより、曲のフォームがフリーでした。 アコースティック時代では現在の「ウェイン・ショーター・カルテット」に近いものがあるので、今のショーターが好きな人は聴いてみては?僕は結構気に入りました、曲自体は一般的な親しみ安いものじゃないけど。ハンコックもいい味出してますよ。 |
モーニン −ベスト・オブ・アート・ブレイキー評価:★★★★★
キース・ジャレットのファンなので、演奏者のところに彼の名前があるために購入しました。彼がジャズ・メッセンジャーズに属していたことは何かで聞いたことがあったのですが、実際このバンドでの演奏は聞いたことがなかったからです。また、彼がI remember ClifordやWisper notをトリオでのコンサートで取りあげているので、聞き比べの興味もありました。が、彼が演奏しているのはMy romanceだけ、とCDライナーでの解説で分かり、少々がっかりしました。しかし、魅力は別のところにありました。My romanceでのキースの叙情的でスキのない名人芸的ソロはもちろん好きですが、やはりNight in Tunisiaのライブの迫力は凄い!スタジオ版とは違った、原始的なリズムと管の織りなす激しいフレーズに圧倒されました。 |
ネイティブ・ダンサー評価:★★★★★
冒頭から、いきなりナシメントのファルセットボイスが出てきて驚くが、目を閉じると行った事のないブラジルの青く澄み切った海と、あくまで白く広々とした砂浜が眼前に拡がって来る。さらに聴き進むと、空に浮かぶ雲の様子まで見えてくる気がする。 達人たちによる圧倒的な描写力は、忙しくて夏休みも取れない人達に、一時の夏休みを恵んでくれる。 |
クッキン・アット・ザ・プラグド・ニッケル(+1)評価:★★★★★
いわずとしれた名クインテットによるスタンダーズライブ。でもそれは最初だけで、すぐ自由奔放な起伏のある激しい自由演奏になる。特にショーターの演奏がすごい。なおボックスセットより、抜粋の本盤の方が音質がよい |
アイデンティティー評価:★★★★
と外国人の指紋捺印制度を皮肉ったジャケが強烈だが、中身の方はもっと強烈。 何たって、ブラジルの大天才エギベルト・ジスモンチが全面協力しているからだ。 なぜ突然この共演になったのかは定かではないが、ジスモンチが他人のアルバムにここまでするのははっきり言ってほとんどないので、大変貴重だ。 「ここまでする」というのは誇張ではない。彼は全曲の作編曲、ギターにキーボードに笛に、と八面六臂の大活躍。 負けじとアイルト&フローラ・プリン夫妻も叩きまくり歌いまくり! 当時のアイルトゆかりのデイヴィッド・アマロやアルフォンソ・ジョンソンなどのトンガリメンバーも天才の参加に大ハッスルしており、これで凄いのが出来なきゃおかしい。 結果、ブラジルフュージョン史に残る超絶変態アルバムが完成した。 |
ジャコ・パストリアスの肖像+2評価:★
自分は最近のスムース・ジャズのファンなのですが、いつもこのアルバムが、売り上げチャートに何となく入っていて、店頭やサイトなどで紹介されていたりすることも多いので、気になったので聞いてみたのですが、印象に残るほどの良い感じの曲というのは1曲もなかったです。4曲目は迫力があってそんなに悪くはないですが、迫力のある部分とバラード調の部分とを行ったり来たりするので良い曲だとは言い切れません。なんか、アルバム全体が混沌としているという感じです。楽器をやる人になどにはわかるのかもしれませんが、聴くことオンリーの自分のような者にとっては、天才ベーシストとか聞いても、どのへんが天才なのかピンときません。曲が良くなければ、テクニックがどうのこうのと言われても楽しめないことに変わりありません。日本では、キャンディーズやピンクレディーが人気だった昭和51年の古いアルバムですから、楽しめなかったとしても不思議ではありません。Earl Klugh(アール・クルー)のデビューが、同じ1976年なんですが、こちらはかなり良いですね。今でも十分楽しめます。80年代初頭に入ってしまいますが、シャカタクや、日本のYMOのアルバムなども結構楽しめます。でもこの、「ジャコ・パストリアスの肖像」は、それほど楽しめませんね、メロディラインが明瞭じゃないんです。(それが、フュージョンというものなのかもしれませんが。) ちなみに「ワード・オブ・マウス」というアルバムのほうは、やはり混沌としていますが、美しいと思う曲もありました。スムース・ジャズのファンの自分としては、ベース・ギター奏者として、Wayman Tisdale と Gerald Veasley をお勧めしますので、ぜひ聴いてみてください。(2人ともベース・ギターだけではなくKeyboardも扱うマルチプレーヤーです。) Marcus Miller という人もベース・ギター奏者として有名みたいですが、スムース・ジャズ的ではなく、お勧めできません。あと、ギター奏者になってしまいますが、Norman Brown という人が超おすすめです。この人は、今のスムースジャズ系の中で5本指に入る人気と実力の持ち主です。Norman Brown のアルバムを聴いたら、現在Jaco Pastoriusファンの人も、Jaco Pastorius のことは、どうでもよくなると思います。ぜひ、聴いてみてください。 |
ジャコ・パストリアスの肖像評価:★★★★★
1975年、9・10・12月ニューヨークで録音。世にジャコ・パストリアスが降臨した最初のアルバム。 1曲目の『ドナ・リー』からぶっ飛ぶ。チャーリー・パーカーのオリジナルのこの曲で完全にエレクトリック・ベースの概念を打ち破ってしまっている。 ロング・トーンとフレットレスの特徴を生かし切った語調、そして変幻自在のハーモニックス。『鳥』のようなベースだ。 むき出しの才能がこれほどスバ抜けたミュージシャンを他に思いつかない。それ故か、デビュー・アルバムにしてメンバーは驚異的に豪華で、ハービー・ハンコック、マイケル・ブレッカー・・・・そしてロサンゼルス交響楽団まで参加している。才能は才能を知るということだ。 1991年刊、『The Life And Times Of Jaco Pastorius(邦題 ジャコ・パストリアスの肖像)』の第7章の『ジャコの思い出』で語るミュージシャンたちのジャコについて語るくだりがそれを如実に示している。特に、ジェフ・バーリンが無理やり彼の音楽を聴かないようにしたり、フレットレス・ベースを捨てるくだりなどは、このアルバム以降のジャコの音楽のオリジナリティ溢れる吸引力と影響力に、多くのベーシストは自らのサウンドのバランスを保ち切れないほどの力を感じたあらわれだ。 その力を知るべし。 |
マン・チャイルド評価:★★★★
「ハング・アップ・ユア・ハング・アップス」のタイトなグルーブとシャープなホーンセクション、そしてギターのカッティングが、それまでのヘッドハンターズ路線に新たな方向性を付け加えている。エンディング部分のアコピ・ソロもかっこいい。 |
ネフェルティティ評価:★★★★★
タイトル曲「ネフェルティティ」の緊張感ときたらどうだろう。マイルスとショーターが微妙にずらして吹くテーマ。トニーウィリアムスのドラムが発揮する目覚ましい瞬発力。ロンカーターのベースラインとテーマの間を自由に泳ぎ回るハンコックのピアノ。60年代のマイルスの真骨頂がここにある。その他の演奏も、いいようのないダークなムードと緊迫感に充ち満ちている。 |
ザ・キング・イズ・ゴーン評価:★★★★★
マイルス亡き後のジャズシーンを牽引する正当な後継者は誰だろうか?邦題「ザ キング イズ ゴーン」というタイトルの通りこの作品はマーカス・ミラーによるマイルス・ディヴィスへのトリビュート作である。と同時に、後継者は自分だという宣言とも思えるだけの傑作である。このアルバムでは彼自身に影響を与えた偉大なるミュージシャン達、マイルス、ジャコ、スティーヴィー・ワンダーへのレスペクトが、彼自身の音楽的なルーツを物語ると同時に、90年代のジャズの新しい可能性を切り開いて見せている。それはただ懐古的に偉人達の足跡をなぞるだけではなく、様々なエッセンスを取り入れながらも現代性を持ち合わせていることである。(日本のジャズファンは視野が狭いのか、もうジャズというものが進化する事を拒んでいるようかのように思われる)参加メンバーはあまりにも豪華であり、その意味は90年代を代表するジャズアルバムであろう。このアルバムを何かに例えるならば、極上のエスプレッソコーヒーを大きなマグカップで飲んでいるような感じである。その芳醇な香りと苦味は、時代を超えて黒人音楽のルーツへ遡上する旅にと誘うのである。 |
ワード・オブ・マウス評価:★★★★★
この作品は自分が聞いてきた中で〓1です。 ジャコの作品の中でも〓1だと思うのですが、 ミュージシャンの評価も凄く高く一流のミュージシャンをも 魅了するのがジャコ・パストリアスの魅力の一つだと思います。作品を通して何か潜在的な狂気のようなものが見え隠れします。 曲はそれぞれバラバラなようで実はトータルな流れがあり、 一番始めのクライシス(危機)と言う曲から始まり、 そこから変遷を辿って最後には静寂が訪れ希望や未来が見えてくる と言うような壮大なコンセプトで作られているような気がします。 なので始めから最後まで聞き通して聴くべきで、 かなり聴き手の力量を要する作品です。 あと、ジャケットの白夜の写真も素晴らしいです。 |
ディレクションズ評価:★★★★★
Circle In The Roundとならんで、マイルス引退時期に出た未発表(ボツ音源)集。そしてどちらもハードバップ時代からエレクトリックまで何でもかんでも詰め込んだ感が否めず、いかんせん手がでなかった。ところが聴いてみたら意外によいのである。もちろん前半のハードバップ期からアコースティックの頂点を極める寸前までにボツになったトラックはどうでもよく、こんなのその時のオリジナルのボーナスにでもしとけ!といいたくなるのだが、後半の黄金のカルテットが終末へと向かいIn A Silent WayまたはBitches Brewが誕生する前後の音源はなかなか聞き逃せない。はっきり言ってかっこいい、おお!こんな事もやっていたのかという驚きが大。マイルスが活動中にオリジナルであるかのように出されたBig Funよりも断然である。と、ここまでの感想はCircle In The Roundもいっしょ。ワタクシがDirectionsをより高く買いたいのはマクラフリン、キースジャレットなんかの数少ないスタジオ録音が聴けるところだ。マクラフリンの見せ場はまずDuran。yesternowの元であろうWillie Nelsonはずーっとエキサイテイングな演奏だ。キースが大らかにエレピを転がすkondaはGet Up With It収録のHonky Tonkが産まれる寸前の記録(ではないか)。ついでにいえばジョーベック参加のWater On The Pondも前記Circle In The Roundより何がしたいかわかる仕上がり。もろウェザーリポートっぽいAscentなんかマイルスのオリジナルではあんまり表出されていない世界で興味深い。Funも楽しいし。残り物にも福があるって本当だったんだなぁ |
フューチャー・2・フューチャー評価:★★★★
Classic Jazzではない。デジタル・ヒップホップ系と言えるでしょう。ラップとリズムマシーンをベースに、聴きやすく流れるような音色とエフェクトを乗せている曲が多い。流行の最先端をまだ走るつもり?と思わせるほど先駆的な曲ではあるが、総じて似通った曲が多い印象でもあった。中でも3曲目は必聴。全体的に、元気がでるくらいビートが効いていると言うよりは、軽いリズムがSmoothに流れている曲が多いCDである。 |
ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト評価:★★★★★
Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ss, ts), Chick Corea (el-p), Dave Holland (b), Jack DeJohnette (d), Airto Moreira (perc)というメンバー。いわゆるロストクインテットにアイアートが加わった編成。アイアートのクィーカ(ウホホホと獣の声の様な音がする楽器)が、ファンクビートの中でものすごく効果的に使われていると思う。その他のメンバーの演奏も過激この上なく、ファンにはたまらない作品。これまでのフィルモアライブでサックスを吹いていたスティーブグロスマンよりも、本作のウェインショーターの方がよりトリッキーなプレイで好み。 |
Introducing Wayne Shorter評価:★★★★
リー・モーガンにせよ、ウエス・モンゴメリーにせよ才能あるミュージシャンのデビュー・アルバムは印象的だ。ウエイン・ショーターのこのアルバムも彼の才能の断片がいたるところにちりばめられていて、実に新鮮である。ほとんどがショーターのオリジナルで、すでに作編曲者としての才能も発揮している。Harry's Last Stand、Down in the Depthsといった曲にみられるように、モードなハーモニーとややファンキィーなテーマを持ったメロディなどに時代性を感じるが、当時としては斬新なサウンドであったに違いない。Pug Noseは美しいメロディでショーターのソロもモーダルだが、リー・モーガンがまだ、ファンキーなコンセプトで、そのあたりのアンバランスが面白いといば面白い。全体としてはコルトレーンの影響を受けている事がうかがえるが、Mack the Knifeなどの演奏もしており、あえて、ロリンズを意識しているようにも思える。ただし、トーンとしてはややか細く聞こえる。ジャズ・メッセンジャーズやマイルスのコンボに入ってからのたくましいサウンドはまだ聴かれない。このあと急成長するショーターだが、まさに60−70年代を代表するサックス奏者へと変貌する予感を十分に感じさせるデビュー・アルバムだ。オリジナル・レコードに比べ4曲もボーナス・トラックがあるのがうれしい。 |
ビッチェズ・ブリュー+1評価:★★★
ジャズ入門書などでは、70年代フュージョンの先駆けとなった歴史的名盤みたいに書かれていて、実際、このレコードの吹き込みやその前後にマイルスのバンドを去来した人達が、結果的に70年代を引っ張る事になるので、そう言う指摘は間違ってはいないだろう。 だけど、この作品自体は、聞き手を楽園に連れて行ってくれたりはしないので要注意。それどころか、素っ裸でアフリカのジャングルに放り出され、土人たちに狩り立てられる夢を見そうな感じがする。とにかくリズムがグネグネと迫って来て、恐ろしい気持ちになって来る。そう言う意味での迫力は凄い。マイルスのラッパが恐ろしい物語をナレーションし、ベニー・モウピンのバスクラや数々のリズム楽器がBGMを奏でる … そんな感じ。 人に薦めはしないけど、一度は聴いておかないと、話になりません。日本語のタイトルを付けるなら、「ビッチズ・ブルー」とするべきでしょうね。 |
ケリー・グレイト評価:★★★★★
マイルスの「カインド−」を通過したウィントンがそのマイルスグループのリズムセクションに絶好調のジャズ・メッセンジャーズのフロント二人を引き連れて作られた、というこのアルバムのスタンスをおさえて聴くと非常に面白いのです。−などリー・モーガンのミュートが時にマイルスに聞こえてきたり・・・。まあこのメンバー5人ともブルー・ノートの常連さんであり、勢いがある人が集まって作ったものは“さすが”というほかはなく、安心して聴けるのです。しかし−・−のショーターの曲は特におすすめ。−などマイルスの「黄金のクインテット」時代のイメージすら感じられます。 |
セカンド・ジェネシス評価:★★★★★
ピアノ,ドラムス,ベース,テナーサックスのカルテットです。ショーターのテナーサックスがよく鳴っています。「彼の不可思議なメロディーラインは既にこの頃からあるのか」と驚かされますが,全体的には聴きやすく,哀愁漂うメロディアスな曲が揃っています。3曲目のタイトル曲「セカンド・ジェネシス」がピカイチです。モノラル録音ですが古い感じが演奏とよくマッチしています。 |
スキッツォフリーニア(紙)評価:★★★★
RVGリマスタリング・シリーズ中の一枚。海外ではどうだったかは知らないが、国内では初CD化の、ショーターの傑作。カーティス・フラー(tb)とジェームス・スポールディングス(as,fl)を従えた3管セクステットでの録音。さらにメンバーを加えたアルバム「オール・シーイング・アイ」は、僕にはあまりピンとこなかった。やはりこのくらいの編成の方が、聴きやすいかも。ジャズ・ロック調の−は、ハービーのピアノがいいアクセントになっていて、なかなか格好良い。しかしベスト・トラックとなると、やはり−ということになる。当時のショーター夫人に捧げられた、この曲はショーターにしてはストレートなメロディーを持つバラード。クリスチャン・マクブライドが、「ナンバー・2・エクスプレス」でも取り上げていた名曲だ。ジャケはイマイチだが、新主流派ジャズの傑作としてお薦め。 |
チュニジアの夜評価:★★★★★
パリのサンジェルマンでの歴史的ライブの大成功によって、JMは一躍モダンジャズ最高のコンボとなり商業的成功をも同時に手にする。ベニー・ゴルソンからウエイン・ショーターにかわってからの強力ラインナップによる録音。チュニジアの夜は幾度となく演奏され続けてきたJMの十八番だが、おそらくコンボ史上1,2を争う傑作である。リー・モーガンは当時最高のプレイを見せており、怖いものなしだし、ショーターもコルトレーン、ロリンズに続く新世代のサックス奏者として、スリリングなソロを見せている。この二人のフロントラインを強烈にプッシュするブレイキーとファンキィーの申し子ティモンズ、さらにジミー・メリットの正確で強烈なウォーキングベース。1961年の初来日で、JMはこれ以上にないと思われる強烈なメッセージを残し日本のジャズシーンをファンキー一色に染め上げた。しかし、そこにはすでにモードという新しいコンセプトが胚胎し、次なるジャズの息吹が隠されていたのであった。アメリカン・タイポグラフィーの典型的なジャケット、ジャズのストレートな素晴らしさが満ち溢れた傑作である。 |
ジャコ・パストリアスの肖像+2評価:★★★★★
ボーナストラックは基本的にオリジナルアルバムの雰囲気を壊してしまいますが、無いと物足りないというのも確かにあります。痛し痒しというところです。別テイクは資料としては貴重で、ファンとしては聴いておきたいものですが、やはりボツはボツというものが少なくありません。そんなボーナストラックが多い中で、当アルバムの特に"6/4ジャム"は非常に興味深いものです。ボーナストラック以外では日の目を見なかったものに違いありません。基本的に単調な曲です。パーカッションをバックに、ジャコが同じリズムパターンを延々と刻み続け、時折ハンコックが遠慮がちにフェンダーローズで絡んでくるという構成です。ただし最後から2番目あたりでハンコックのフェンダーローズがヒートアップします。その後はまた元に戻るのですが、これを聴くだけでも価値があります。この曲を選曲した人に脱帽です。多分もっと聴きやすい別テイクなんかも選択肢としてあったはずです。 |
ビヨンド・ザ・サウンド・バリアー評価:★★★★★
−フットプリンツの二番煎じといわないで。 とにかく素晴らしい。素晴らしいメンバーに囲まれて、 ショーターの宇宙的な創造もここまで極まったか。 いや、ショーターのほとばしるエネルギーがメンバーを宇宙に引きずり込んだのかも。 ブライアンのドラムは一曲目の中頃から大爆発、ビッグバンさながら。 メンバー間の意思の疎通を越えた楽器を通し−−ての会話が皮膚に突き刺さる。 それにしても、パティトッチは、誰かの所を離れてから 素晴らしき変貌を遂げたと思う。− |
イン・ア・サイレント・ウェイ評価:★★★★★
統一感のある音楽である。あまりJazzを感じさせず、ジャンルを超えた良質の音楽である。柔らかい音にリラックスできると同時に、多くの刺激を受けることもできる。だから知的な活動のバックで流れるBGMに最適と感じる。 音楽を聴きながら、映像を見ている錯覚を感じた。全体の色調は暗であり、淡である。しかし、その色調のバックの中で、鮮やかな色彩が湧き上がり、踊っている映像だ。例えばJackson Pollockの絵画のようで、キャンバスに叩き付けられた色彩が絡み合い、全体を構成する。鮮やかな色は8人のミュージシャンが奏でるモードに対応するのだろうか。なるほど、凄腕の人ばかりが揃っている。色が鮮やかなのは当たり前だが、他とは混じらない、しかし調和する色彩を慎重に創り出したのだろう。色彩は様々に相互作用して変化しながら、それでいていつも好い具合に調合されている。 全体をまとめるマイルスの力を感じる。方向を示すとともに統括する能力がマイルスの「魔術」なのだろうか。この力は、自叙伝で語るように、バンドとしての音楽を重視することから生まれるのだろう。「すばらしいミュージシャンが揃ってさえいれば、状況に応じてそこにあるもの以上の、自分達でできると思っている以上の演奏が生まれることがオレにはよく分かっていた」。確かに「Kind of Blue」と同様、他にはない新鮮で美しい音楽である。 |
ビッグ・ファン+4評価:★★★★★
1974年リリース。『ビッチズ・・・』と『ジャック・・』と前後する時期の未発表音源集。 マイルスの未発表音源集で最も有名なのは『ウォーター・ベイビーズ』だと思うが、この作品は同じ未発表音源でも内容的には大違い。一番近い表現は『もはやプログレ』である。これら未発表音源を聴いていて思うのはマイルスのこの時期の音楽は全方向に繁殖していて前作と次作のあいだに脈絡が全くなくなっているということだ。故にこれとこれの間の未発表音源といってももはや中間的な存在ではありえない。例えば本作のトラック1の『Great Expectations』(マイルスとザヴィヌル爺の共作)などはタブラ・シタール・ビリンバウの鳴り響く空間にマイルスを含むホーンが浪々と鳴り響くもので、どのマイルスとも繋がらない。繁殖を続ける生命体の一部を見せられているに等しいのだ。ただそこにある『要素』は間違いなく繋がっている。リズムは徹底的にある意味バランスを失っている。その不安定さがいいのだ。 やはり惹かれるのは2の『IFE』。『オン・ザ・コーナー』のレコーディング・セッションのメンバーによるトラックだ。聴けば聴くほどマイルスの最高傑作は『オン・ザ・コーナー』だと思えてくる。(●^o^●) |
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