Thelonious Monk With John Coltrane評価:★★★★★
ここでの演奏のトピックは何と言っても"Trinkle,Trinkle"のコルトレーンでしょう。すごい緊張と集中が伝わります。バックも固唾を呑んで聞き入っています。これを聴くだけでこのアルバムの価値はある! |
Giant Steps評価:★★★★★
モダン・テナー・サックスの第1人者は50年代を通じてロリンズであったというとやや語弊があるかもしれない。50年代他にもはデクスター・ゴードンやスタン・ゲッツ、ワーデル・グレイなどの名手が揃っていたからだ。しかし総合的にみてロリンズの優位はゆるぎないほど豊かな才能を示し、優れた作品を残した。そのロリンズの牙城をついに脅かしたのが、コルトレーンのジャイアント・ステップスだ。ロリンズ節といわれた歌心や変化にとんだアドリブのバリエーションで他を寄せ付けなかったロリンズに対し、節やアドリブのバリアントでなく、モードのシステムと激しくも吹きまくるシーツ・オブ・サウンズの洪水の総量で立ち向かったコルトレーンは、それ以後サックス奏者への影響力においてロリンズをしのぐようになっていった。標題曲Giant Stepsはいうに及ばず、Cousin Mary、Countdown、Spiralと続く切れ目のない音の畳鰯のような音符に圧倒される。なかにはNaimaのようなバラードもあるが、自信に満ちたトレーンのソロは文字通り偉大なるステップを踏み出し、60年代ジャズの嵐へと突き進んでいったのである。コルトレーンの最高傑作といってもいい完成度の高いアルバムだ。 |
My Favorite Things評価:★★★★
「至上の愛」のレビューを書いたとき想像はしていたが、これほど日本人が権威や宗教が好きな国民であるとは思わなかった。あちらでコルトレーンの悪口(というか、正当な評価だと思うのだが・・)を書いたので、一枚くらい彼が「ジャズ」をプレイしているアルバムを挙げておこう。 「好きなジャズプレイヤーは?」「ハイ、コルトレーン、マイルス、ロリンズ、そしてビル・エヴァンスです」などと答えるアナタはたぶんジャズに対する耳がない可能性が高し。ご用心召されよ。 (実は「ビル・エヴァンス好き」と仰る方は相当ハイレベルのリスナーの可能性もある) |
Bags and Trane評価:★★★★
ジャズを聴いてかれこれ20年経ちますが,恥ずかしながらこのレコード(CD)の存在は知りませんでした。 リーダー2人の他にハンク・ジョーンズ(P)・ポール・チェンバース(B)・コニー・ケイ(D)といずれ劣らぬ名手によるリラックスしたジャム・セッションですが 特筆すべきは演奏空間の響きを見事に捉えた録音です。 ルディー・ヴァン・ゲルダーに代表される重心の低い,オン・マイクでギンギンに迫ってくるサウンドも良いですが クラッシクの録音のように「響き」を捉えたこの録音は,また違った生々しさを感じさせます。 あるいは,ちょっと広めのジャズ喫茶でレコードを聴いているような気もしてきますよ。 |
Coltrane's Sound評価:★★★★★
この疾走感と緊張感はいつ聞いても身震いするほどだ、特にソプラノで吹かれた「セントラル・パーク・ウェスト」は絶品。 |
Transition評価:★★★★★
Personnel: John Coltrane - tenor saxophone McCoy Tyner - piano(#1-3) Jimmy Garrison - bass(#1-3) Elvin Jones - drumsRecorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on June 10(#1-3)and June 16(#4),1965 Transition / formal the act or process of changing from one form or state to an other 1964年、「至上の愛」によって自己の音楽性の一つの頂点を極めたコルトレーンが哲学や理論によって構築された彫刻的とも言えるそのスタイルを破壊し、更なる高みへ歩を歩めた意欲作である。フリーあるいはアヴァンギャルドと形容される後期コルトレーンのカオスを思わせるサウンドはシーツ・オブ・サウンドと同じく理論の果てに生まれた表現であり、根拠を欠いたものでは決してない。 そして「破壊とは生産である。」という芸術におけるセオリーを最もよく体現し、成功した例、それが本作ではなかろうか。「至上の愛」でなく、この「トランジション」を最高傑作に挙げる声も多い。 本作のテーマとなる−はコルトレーンの新たな深淵を覗わせる内容。「至上の愛」を超えた上での恐るべき、そして静かな第一歩だ。「至上の愛」の面影を残しつつも随所にフリーを散りばめたモード・スタンダードな演奏。伝家の宝刀シーツ・オブ・サウンドは音数をぎりぎりまで削り、静寂さすら感じさせる。 スローテンポの−はマッコイ・タイナーの流麗なピアノがコルトレーンの豊かな叙情性を引き立てている。−と−を自然に繋ぐために極めて重要なパート。艶やかで典雅、息が漏れるほど美しい。 圧巻は−。5つのパートからなる組曲構成。その名もsuite(組曲)である。「至上の愛」をぐっとタイトに凝縮したような、あの究極の一枚の全てを、それでも半分とは行かないまでも1パート増やして21分にまとめている。 −は演奏日が違うこととドラムとサックスのコンビ編成ということもあって微妙に質感が違う。といってもクールダウンにぴったりだし、余韻にこういうものを聴くのも刺激があって楽しい。 とても欲張りで充実した内容を誇る作品である。コルトレーン漬けになる。 |
Ballads評価:★★★★
コルトレーンとロリンズはどちらも重量級なのに水と油ほど違う。これにスタン・ゲッツやハンク・モブレー、アルバート・アイラーなどを絡めると、テナー・サックスという楽器の個性の幅の大きさが浮かび上がる。同じコルトレーンでもこのバラードとアセンションや晩年のファラオ・サンダースとのセッションなどを比較するとかなり異なっている。もちろん音楽は演奏者自体のスタイルの変化はもとより、その日の演奏者の体調、楽器の状態、録音状態などなど様々な要素によって影響を受けるわけだが、そのあたりも鑑賞の楽しみに加えると興味深いものがある。バラードでのコルトレーンはややか細く聴こえ、至上の愛やジャイアント・ステップスのようなたくましさとは違った繊細さが前面に出ている。繊細というとほめ言葉だが、別の角度から見ると、やや気持ちのノリが足りないようにも思えるのだ。TVのコマーシャルに使用される事が多いことからもコルトレーン唯一のイージーリスニングといってもいいのかもしれない。チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングスというパーカーの世紀の失敗作もパーカー自身が望んだ企画であった事を思えばアーティストの考えとファンの心情は必ずしも一致しないものだ。しかしバラードはコルトレーンのウィズ・ストリングスではなく彼の歌心を感じる傑作である。バラードを仮にコルトレーンが望んだ企画だとしたら、異なった環境で(万全の体調で)もう一回チャレンジして欲しかったと願うのは僕だけではないだろう。もちろんこれを最高傑作と思うファンもいるだろうし、バラードがこれだけだから価値があるのだという考え方もあるが・・・。 |
The John Coltrane Quartet Plays評価:★★★★★
「これはMY FAVORITE THINGSでは・・・」一曲目を聴いた方にはご理解いただけると思います、「いや、曲のタイトルが違う」。この演奏のあと、聖者になるといい、凡人には到底理解できない、「完全なる至福」という幸福を手に入れた人。それは「人の目をまったくもって気にしない、ただやりたいことをやる」という、幸せ。この曲は、まだ多少完全になる前の作品。だから、呑人に理解できるのではないでしょうか?音楽万歳。 |
Interstellar Space評価:★★★★
1967年2月22日の録音で、死の5ヶ月まえ。演奏はコルトレーンとドラムのラッシド・アリとのデュオ。つまり、ベースやピアノは無しと言う特異な内容なので皆にオススメというわけではありません。しかし彼らのプレイは二人だけでも十分激しく、たっぷりしていて、物足りないと言うことは無く、むしろなぜもっと話題にならないのかと残念に思うくらいの出来で彼の最晩年の作品の中で最も知名度が低いのは残念でなりません。自分などは最近話題のオラトゥンジ・コンサートよりもこちらの方が彼のサックスが楽しめて好きなくらいです。 |
Coltrane for Lovers評価:★★★★
もともと持っていたバラード(コルトレーン)と4曲だぶっているので、どうかなと思ったけれど、聴いてみたらひとつのアルバムとしてはなかなかよくまとまっていました。リラックスして落ち着いて聴けるアルバムで、気に入ってます。一人で聴くのも良し、恋人と聴くのも良しです。これを買ってジョニー・ハルトマンと一緒のアルバムも聴きたくなりました。 |
オム評価:★
清水俊彦さんというジャズ評論家がこのアルバムを誉めたたえ、「本作の狙いは、フリー・ジャズに対してその可能性の条件を示すことではなく、それを解読しようとする音楽が最初に押しつける空白を示することだった」と書いている。私がバカなのか、難解すぎて、何を言いたいのかまったく分からない。私に言わせれば、「このアルバムあたりから、コルトレーン は難解でリスナーが理解できない自己満足のフリージャズの袋小路に迷い込んでいった。」ということになる。このアルバムを絶賛するコルトレーン信奉者も、「バラード」「マイ・フェーバッリット・シングス」などのアルバムを聴くほうが多いはずだ。コルトレーンの熱狂的ファン以外は近づかないほうがいい。 |
1958マイルス+2評価:★★★★★
マイルスのアルバムは沢山持ってますがこれは比較的聴く回数が多いアルバムです。なんといっても曲が良いです♪ジャケット・デザインもかっこいいですね!難しい理屈は抜きにして楽しめるアルバムですよ。数少ないビル・エバンスとの共演盤でもあります。この二人の共演は最高に好きで、できればもっと聴きたかったな−…。その意味では「カインド・オブ・ブルー」もお奨めです。 |
ソー・ホワット(紙)評価:★★★★
こいつも、元はブートもどきだったのを日本の制作会社が買い取ったか何かして、キングレコードからの発売、よってライナーもあり、私はよく知らないのですが、大村幸則さんという方が書かれています。帯裏には、「本盤は貴重な歴史的音源を収録しています」と記述があります。尚、「マイルスを聴け!」には「いきなり音質劣化、バランスガタガタのところがある・・・・」とありますが、さすがに公式盤の本作では改善済。コルトレーン別れの5部作のオランダ公演だ! |
バラード評価:★★★★★
トレーンの残した録音には「アセンション」の他には失敗作はない。 では、トレーンの代表作はと聞かれたら、「至上の愛」「アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」「ブルー・トレイン」「ジャイアント・ステップス」等々が挙げられる。 しかし、一番人気のある作品は、となると、この「バラード」をおいて他にはないだろう。これに続くのが「ジョニー・ハートマン」だったり「エリントン」だったりするのは、多くのファンが音楽に癒しを求めているからだろうか。 確かに「チェイシン・ザ・トレーン」のような音の洪水の後で、「セイ・イット」を聴くとほっとするというのは人情というものではある。 思えば、初リーダー作「コルトレーン」(プレスティジ)の「ヴァイオレット・フォー・ユア・ファーズ」で近代的なバラード演奏を確立したときから、トレーンはバラード演奏の名手だったのである。 |
キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ評価:★★★★
ボクにとって、このアルバムは、誰がなんと言おうとキャノンボールさんのワンホーンによる「2.アラバマに星落ちて」です。ウィントン・ケリーさんの美しいイントロに続いて、キャノンボールさんの歌いっぷりはもう文句なし!絶妙にじらす音出しには胸を締め付けられます。 |
デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン評価:★★★★
巨匠エリントンとて、コルトレーンの凄さは充分認めていたことだろう。よく『バラード』と並び称されるが、本作には異様な緊張が見られる。どちら側の土俵で勝負するか。両者ともアクが強く、懐もまた深い。「Take The Coltrane」では、エリントンが弾くのを中断。これは凄い判断力だ。弾かないほうがいいサウンドになることをエリントンはちゃんと知っていたのだ。 |
ブルー・トレイン評価:★★★★★
マイルス・デイビスのオリジナル・クインテットが一時解散し、セロニアス・モンクのコンボに参加後の、成長著しいコルトレーンの姿を記録した貴重なアルバムである。ブルーノート唯一のリーダー作でもある本作は、サイドメンが充実し、3管編成の典型的なハード・バップに仕上がっている。曖昧なフレーズもなくなりバリバリと吹きまくるトレーンは、すでに東海岸の代表的なテナー・サックス奏者に成長し、自信に満ちたプレイを見せている。ブルー・トレインの単純なテーマからソロに入って一転、うねるようなアドリブで自在にブルースを音の織物にしていくコルトレーンの楽想は素晴らしく、58年のソウル・トレインと並ぶ50年代の金字塔であり、コルトレーン飛躍の記念碑アルバムとして絶対に欠かす事が出来ない。弱冠二十歳に満たない天才トランペッター、リー・モーガンも溌剌としたバイタルなプレイを聴かせ、カーティス・フラーが加わったフロント・ラインは重厚でアンサンブル的にも優れている。ジャケット・デザインがブルーノートらしく、かっこよく決まっている点も魅力だ。この後、再びマイルスのコンボに加入し、比類なきセクステットにおいてモード・ジャズの極点を目指し「マイルストーンズ」「カインド・オブ・ブルー」の吹込みへと続くのである。 |
マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ評価:★★★★★
Bag’s Groove とならぶ名盤が廉価版で! Monkとの緊張感あふれるThe man I love やColtraneとのおなじみRound about midnightなどなど・・・。お買い得です。 個人的にはこの頃のMilesの作品は彼の演奏より共演者の演奏のほうに興味があります。失礼! |
コルトレーン評価:★★★★
1957年5月31日、ニュージャージー州、ハッケンサックで録音。Prestige7105。 1987年にカーク・フェルトンの手でデジタル・リマスターされている。メンバーは1-3がレッド・ガーランド、4-6がマル・ウオルドロンのピアノ。ポール・チェンバースのベースにアルバート・ヒースのドラム、それにトランペットとバリトン・サックスが加わるといったかなり珍しい構成である。 ジャケット写真のコルトレーンは若々しく、テナー・サックスが良く似合う。(●^o^●) 曲は未だ自らのスタイルを確立するには至っておらず、逆に言えばいかに急激にジョン・コルトレーンは成長したが知れることでもある。まだソプラノ・サックスには到達していない。そういうコルトレーンのスタート地点を知ることが出来るアルバムとも言える。この3年後、1960年10月21日から26日までの6日間にコルトレーンは3枚のアルバム分以上の驚異的なレコーディングを行い、これが編集して出来上がったアルバムが、『マイ・フェイバリット・シングス』・『コルトレーン・プレイズ・ブルース』・『コルトレーンズ・サウンド』となるわけだが・・・・夢のようである(●^o^●)。養老先生が言っていた。その人の未来はその人自身の中にあるのだ、と。ジョン・コルトレーンの成長はまさにそれを実地でいっている。しかも物凄い速さで。 |
ラッシュ・ライフ評価:★★★★★
コルトレーン、ソロ作第2弾(だったっけ?)。 1曲目“Like Someone In Love”の出だし1発目のフレーズでメロメロ! ベースとドラムが後から続き、トレーンをサポート。 トリオ演奏なのに、重厚な、それでいて甘−いバラードとなってます。 聴いている自分が素敵だと感じてしまう(?)ほど、すばらしい演奏です。 ジャズが苦手な方にも聴いてほしい、押し売りしたくなる1枚。 最高! |
ベスト・ブルーノート100評価:★
「全ての曲が100秒だけ」と、何処かに表記されていたら、いったい何人の人が購入するだろう?どこにも表記無しで「CD2枚で100曲なんだから考えればわかるでしょう」は無いよね。絶対不可能とも言い切れないからね。俺はまぁ自分の不注意だし寝ながらでも聞くか…で良いけど、生真面目に、熱く怒る人が訴えでもしたらどうなるか見てみたい。ちょっと消費者をナメているね。 |
マイルス~ザ・ニュー・マイルス・デイヴィス・クインテット評価:★★★★★
飽きない和食といった おもむき。レコード屋で店員の女の子が推薦したので買った。一人で聞くのに 向いている。 |
ア・ブローイング・セッション評価:★★★★★
コルトレーン、モブレーなどの超有名テナー奏者と共演した、タイトル通りのブロー合戦。かと言ってただただ熱いだけでない。よくあるジャム・セッションのようなマンネリズムに陥らないところは、さすが総帥アルフレッド率いるブルー・ノート盤だ。とにかく黙って聴くべし、大音量がいいね!(許せる範囲で) |
ライヴ・アット・カーネギー・ホール評価:★
国内版はCCCDです。装置の故障の危険を承知の上でご購入ください |
ワン・ダウン、ワン・アップ:ライヴ・アット・ザ・ハーフ・ノート評価:★★★★★
22分に及ぶマイ・フェイバリット・シングスを聴き終えた時の、心地よい倦怠感は何なんでしょう?! コルトレーンのハード・ブローに本気で付き合うのは体力が要る、ということを痛感しますが、それだけここでの彼のプレイが充実しているということです。 彼の多数のライヴ版の中でも珠玉の出来だと思います。 |
ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン評価:★★★★★
「バラード」「コルトレーンとエリントン」「コルトレーンとジョニー・ハートマン」はまちがいなくインパルス・レーベル時代のコルトレーンの3大傑作だ。「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ」「ラッシュ・ライフ」などの名曲をハートマンが独特の甘い声で歌う。ハートマンにとっても傑作の一枚。ほかにもハートマンはインパルス・レーベルから3枚リリースしているがそれらも最高の出来。1963年録音なので40年も前のアルバムだが、いささかも古びていない。これぞ名盤。(松本敏之) |
セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス評価:★★★★★
アトランティックの「マイ・フェイヴァリット・シングス」は名盤として名高いが、インパルス時代の、それも晩年のものを味わった後で聴いてみると、パチンコ屋の開店を告げるチンドン屋かアラビアの蛇遣いのように聞こえなくもない(ファンには失礼!)。 それほどトレーンのこの曲の演奏は、変貌に継ぐ変貌を繰り返している。 本アルバムは雑多な寄せ集め集だが、この1曲のためにつとに名高い。変貌する「マイ・フェイヴァリット」のごく初期のもので、まだ十分に”原形”をとどめている。 また、この「マイ・フェイヴァリット」の演奏の価値に大きな貢献をなしているのが、いつものメンバーではない、ドラムスのロイ・ヘインズだ。いつものエルヴィンのような千手観音百叩きで圧倒しなくとも、スネア・ドラムを工夫するだけで複雑なリズムがたたき出せるのだと、何度聴いても感心してしまう。 |
バラード評価:★★★★★
コルトレーンと言えばすぐに「ブルートレイン」や「至上の愛」が思い浮かぶが、コルトレーン・ファンに一番聴くアルバムは?と尋ねると、この「バラード」と答えるファンがほとんどだろう。いつもの高い音色で狂気を感じさせるようなコルトレーンではなく、朗々と吹く。それでいて「ムード音楽」にはなっていないところが素晴らしい。「名盤」とはこのアルバムのためにある言葉だ。夜一人でウイスキーのグラスを片手に聴くと、あまりの美しさにタメ息が出る。コルトレーン嫌いだってこの一枚は絶賛するはずだ。(松本敏之) |
至上の愛評価:★
ジャズではなく、何か別種の宗教音楽として考えれば五つ星になるのかもしれないが、それはもはやわたくしの知ったことではない。 「ジャズ」の名演を求めているのであれば、このような音楽は避けたほうが賢明であると思われる。コルトレーンの参加している「ジャズ」のアルバムは他にも数多あるわけだし・・ これを言ってしまっては身もフタもないが、ビ・バップ(あるいはチャーリー・パーカー)でジャズは終わってしまったのだし、ジャズに最後のとどめを刺したのが本盤とマイルスの「ネフェルティティ」と言えるだろう。 |
ワーキン評価:★★★★★
マイルスが1956年、CBSと契約をするために、5月11日と10月26日の2日間だけで完成させた4部作、通称「マラソンセッション」の中では、「クッキン」、「リラクシン」の陰に隠れている存在なのですが、1曲目、ガーランドの静かなピアノ・ソロから始まる「It Never Entered My Mind」のマイルスのトランペットには、凡百のジャズ曲が及ばない優しさに溢れた演奏に参ってしまう事、請け合いです。15年ぐらい前に、一ノ関のジャズ喫茶「ベイシー」を訪れた時、このA面がかかっていました。当然、オーナーは菅原さんですから、LPをかけていましたが、針音もソフトで、JBLの自作スピーカー(当時、12インチウーハーを片チャンネル4本使用、中音、高音は当然ホーンスピーカー、現在はまた改良されています)から流れる音楽の素晴らしさ、LPの情報量の高さに驚き、1時間程、席を立つ事ができませんでした。LPは4曲目までで、「テーマ」で締めくくられている構成です。CDになり、それが分かりにくくなりましたが、その時の体験がきっかけで、しばらく遠ざかっていたジャズにのめり込む事になりました。思えば、罪なアルバムですが、有りがたい気持ちで一杯です。私の人生を変えた傑作アルバムです。是非、貴方もいかがですか? |
ザ・キャッツ評価:★★★★★
名盤請負人ことトミーフラナガンをバックにコルトレーンがハードバップを奏でる佳作。 ケニーバレル、ダグワトキンス、ルイスヘイズといった面子が味わいを添えて なかなかの聴き物となっている。この価格なら買い推奨である。 |
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