Gil Evans & Ten評価:★★★★★
ギルの音楽は不思議だ。何度聴いても違って聴こえるのだ。いいかげんなようで実に凝った内声の動き、それが為に感じられるどことなくふわふわした感じ、もしくはちょっと霧のかかったようなサウンド。そして、決してテクニシャンではないけれど、実に見事なサウンド(音の配置というか、そこでその音がある明確な必然性をいつも感じる)を構成する彼のピアノ。スティーヴ.レイシー、ジミー.クリーヴランドという全く異なる個性を一つにまとめてしまうサウンド。記録された数少ない50年代のギルの白眉。 |
Bud & Bird評価:★★★★★
1986年12月、スウィート・ベイジル録音。この時点でギル75歳。 でも全然そんなこと感じさせないくらい、このときのマンデイナイトオーケストラは絶好調。若手連中(ビル・エバンス、ギル・ゴールドスタイン、ハイラム・ブロック、ダニー・ゴットリーブ等)はオーケストラに新しい息吹を注ぎ込んでいる。ギルのプレイはほとんど聞こえないけど、バンドリーダーとしてのギルのすごさに改めて感心する。 バップテイストの曲から、エレクトリックファンクまでを余裕でこなすメンバーにも恵まれ、ボルテージは高い。 あのジャコパスだってスティングだって、ギルを尊敬しお手本にしてたんだから!! |
Live at Sweet Basil 1評価:★★★★★
最近ではすっかり企画力のなくなった日本のレコード会社だが、この頃(80年代)は凄かった。スィートベイジルでのこんな熱狂的なライブを、世界に先駆けて録音したのだから。ギル・エバンスといえば作編曲でその名をしられてはいるものの、本人に欲の無い事も手伝ってかなかなか売れ線の作品に恵まれない。しかし、このマンデイナイトオーケストラと呼ばれる月曜日のギグには、ギルの何倍ものギャラを稼ぐようなスタープレイヤー達が参加しているのだ。ルー・ソロフ、ジョージ・アダムス、クリス・ハンター、ハイラム・ブーロック、ミノ・シネル、マーク・イーガン、アダム・ナスバウム等々。ギル・マジックのもとに集結したソロイスト達の溌剌としたプレイを堪能して欲しい。 |
Farewell評価:★★★★
2つの面がバランス良く収められたアルバム。 ギンギンのフュージョンナンバー1.ではエレキ楽器がうなりを上げ、リズムセクションが暴れまくる。 反対にフレンチホルンのジョン・クラーク作曲の2.では天使が舞い降りてきたかのような美しい音空間が作り出されている。その時その時のメンバー各々のやりたいようにやらせるという晩年のスタイルで、一体どこまでがギルの思惑なのか判然としないところがあるが、いい曲をレパートリーにしていたことは確か。 このアルバムはそんな破れかぶれになりがちな後期ギルバンドの最も良いところをコンパクトに収めた好アルバムである。 |
Live at the Public Theater in New York, Vol. 1評価:★★★★★
そうだよなああ−−なにかにつけて『商魂』のかたまり、『悪徳商人』みたいなフュージョンバンド、ギタリストが最近は非常に多いな。そんな中で、これは貴重なドキュメントだ。正直ぼくはこれを最初聞いた時は『恐かった』。アレンジってものすごい魔力があることを悟らされた。クインシージョーンズなんて青いぜなんていきがっていた時期かもしれない。そんでこれだ。ニューヨークでのライブ音源であるが、鍵盤で参加している日本人=菊池が光を放つ。ふたりは密接に関わっていたようだ。そしてもう1人のシンセサイザー奏者=ピートレビン(トニーの兄弟)。その他ドラムにビリーコブハム、アーサーブライス、ハンニバルピーターソンなどが参加。晩年のギルは相当に不遇だったらしい。陰影に富むアレンジはギルそのもの。シンセサイザーの音色選択が抜群によい。 一時デビッドサンボーンはギル楽団に在籍してた。サンボーンにはギルエバンスのスピリッツはもうないのだろうか。誠に残念の極みだ。 10点中7点 |
Seven Steps to Heaven評価:★★★★★
ヴィクターフェルドマン(p)+フランクバトラー(ds)の3曲とハービーハンコック(p)+トニーウィリアムス(ds)の3曲が交互に入れ子になったアルバム。(ロンカーター(b)は全曲、ジョージコールマン(ts)は後者のみ参加)あんまり人気無いみたいけどこれがまた、埋もれてしまった名盤、良いんです。ハービー/トニーの方は言わずと知れた黄金のカルテットの一角だから、このアルバムではおとなしめとはいえ当然トニーのシャバシャバドガスカンにハービーの子馬が走っていくようなツッコミが斬新かつIQ高めにワクワクするくらい決まっております。それはそれとして、残りのヴィクターフェルドマンもの、コレが侮れないんですあーた。す、すばらしいぃ、バラードなんだぁ!と叫びたい、しかもマイルスワンホーンでぶち!!のサックスが入っていない。これほどマイルスのバラードを腰を据えてじっくり聴かせるアルバムは無いですよ、まじで。こういう曲ではドラムはおとなしくしていればいいんで、かえってトニーじゃなくて正解。存在感のないフランクバトラーこそ貢献しているといったらあまりに失礼か。ヴィクターフェルドマンもあくまでスイングしようとする前任者ウィントンケリーに比べこざっぱりとマイルスをサポート。個人的意見ですが、この時代がマイルスのバラードの完成形ではないか、ing4部作のころよりはるかに繊細かつ力強いものになっている気がしますねぇ(ブロウイングの完成はMilestonesだと思うね)このバラードだけでも良かったが、ここにぴりりと辛いトニードラムがバシャーンバシャーンと甘みをぶった切っていく!!!ころが本作のすごいところ。メンバーチェンジは偶然みたいなものだったとはいえ、アクシデントをプラスのコントラストにして見せたテオマセロの功績か? |
Gil Evans Plays Jimi Hendrix評価:★★★★★
ジミの原曲のイメージがぶち壊れないアレンジ。ギル・エバンスとジミが一緒に仕事をしていたらこうなっていた、いやそれ以上だった、と思わせるアルバムです。 |
Svengali評価:★★★★
個人的にはDavid Sambornのクレジットにつられて購入。ギルらしいライブアルバムではと思いますが、下手をするとフリージャズの一歩手前的なところもあり、ジャズ初心者というよりは上級者向けと思います。 |
ケニー・バレルの全貌評価:★★★★
Gil Evansによる編曲で、Kenny Burrellの魅力を満載した多彩な曲調の演奏が集まった名盤。Kenny BurrellはMidnight Blue他多数の名盤を出していますが、ジャズ初心者の方でも馴染みのある曲がフィーチャーされたこのアルバムはお薦めです。 |
ギル・エヴァンスの個性と発展評価:★★★★★
マイルス・クインテットのスタジオ録音でのショーターなど「音程が悪くてちょっとどうも。。。」なんて思っている人も、これを聞いたら見直すのではないか。彼は、マイルス・クインテット時代から実はギル・エバンスとがっぷりコラボレーションしたかったのではないか。それくらい気合の入りようで、よく構成され洗練されたソロをギル独特のハーモニーに乗って吹きまくる。名盤である。 |
ダブル・レインボー評価:★★★★
上記のレビューは全く間違いだと思います。 「ポップ」や「格好良い」などと言ったことは考えないで音だけに集中してくれ、とニューヨークの超一流ミュージシャンたちに日野が言ったというインタビューを発売当時読みました。On The CornerやIn A Silent Wayなどのマイルスコンセプトを日野と菊池の二人が80年代に押し進めた挑戦的大作です。City ConnectionやDay Dreamといった前二作のポップなフュージョンとはがらりと変わって、その流れで初めて聞いた時はショックを受けました。M1のスティーブグロスマンのモーダルなソロやハンコックのローズソロなどは必聴です。あのアンソニージャクソンが「手がカチカチだ、休ませてくれ」と弱音を吐いたそうです。M5のオーストラリアの原住民アボリジンをテーマにした曲もクリエイティブなサウンドです。 |
ケニー・バレルの全貌評価:★★★★★
ジャズ・ギタリストはそれぞれ個性的なスタイルを持っているが、一様にいえるのは彼らは皆テクニシャンであり他の楽器のようにテクニックは今一だが強烈な個性が際立っているというものではない。すなわち、ギターそのものがある水準に達していなければとても聞くに堪えないような種類の楽器なのだといえるのではないか。バーニー・ケッセル、タル・ファーロー、ジム・ホール、ハーブ・エリス、ウエス・モンゴメリーなど一流といえるギタリストの誰をとっても、一様にものすごいテクニックと楽想を持っている。かくいうケニー・バレルもテクニックにおいては引けをとらない。特にこのアルバムではギターの可能性をトラディショナル・ブルース、クラッシック、フラメンコ、モダンブルース、ボサノバ、バラード、民謡、スタンダード、モダン・ジャズなどさまざまなジャンルとスタイルで演奏で示している。ギル・エバンスの編曲の手腕によるところも大だが、バレルの実験精神とバーサタルな才能がそれを可能にしているのはいうまでもないであろう。スパニッシュ名味付けの月と砂、軽快なグリーン・スリーブス、昨夜の二人は若かったにおける見事なバラードなど聴き所が多いが、やはり真打はこてこてのモダン・ジャズ、ブレッドウィナーのソロも素晴らしさにつきる。 |
マイルス・アヘッド+4評価:
1957年録音の今作は、マイルス・デイヴィスとアレンジャーのギル・エバンスがColumbiaに残した最初の作品だ。1949年の『Birth of the Cool』を皮切りに何枚かの作品を生んだ2人が再び手を組んだ1枚。おそらくジャズのソロイストとアレンジャーのコンビという点では、この2人ほど重要な関係はなかった。エバンスはデリベスの「The Maids of Cadiz」のような新鮮な題材を見つけてきては、繊細なボイシングと斬新なアレンジで、デイヴィスのソロを引き立てるのがうまかった。エバンスのアイデアすべてが、デイヴィスの絶妙の間の取り方や刺激的なサウンドを支えていたのだ。複雑なアレンジを見事に昇華させ(1曲目のジョン・キャリシ作の「Springsville」はその典型)、デイヴィスのソロとチューバやクラリネットのコントラストを作り出している。また熱いスペイン風「Blues for Pablo」は、後に発表された『Sketches of Spain』の序曲とも言うべき雰囲気だ。(Stuart Broomer, Amazon.com) |
ポーギー&ベス+2評価:★★★★
大変不謹慎なたとえかもしんない、でもホメ言葉だと思っていただきたい。いきなりのThe Buzzard Songからして東映東宝松竹日活のタイトルバックが浮かんできそうなのである。小林旭やら石原裕次郎やら二谷英明が出てきそうなのである。ひょっとしたら植木等がしょんぼり歩ってるとか谷ケイがバレリーナのカッコしてるとか、そんなシーンにふさわしい。なぜか60年代の日本、光と影のコントラストきつく彩度の低い印刷物や視覚表現が似合う感じでとても懐かしいのだ。(これはきっと、当時の商業音楽家達に影響を与えたいうことだろう、きっと)マイルスは録音にあたってこの作品が最も苦心したという。それは(もともとはオペラである各曲目を演奏するにあたって)歌詞の意味や歌うべき役柄に応じて表現を使い分けたからだという。実をいうと正直言ってそういった細かいことはわからないのだが、むしろ全体とてつもなくハードボイルドな雰囲気を感じるのだ。マイルスアヘッドがある程度ムードミュージック的だったのに比べ、こっちはむしろ死刑台のエレベーターのようなハードなジャズ感が魅力だ。 |
スケッチ・オブ・スペイン+3評価:★★★★★
マイルス・ディヴィスとギル・エヴァンス、これほど魅力的な取り合わせがあるだろうか? このスケッチ・オブ・スペインもその二人の共同作業で制作されたものだ。音とアレンジの魔術師ギル・エヴァンスと、抑え気味にトランペットを駆使するマイルス、 どちらも譲れないぎりぎりのところで勝負している感があって緊張感のあるすばらしい演奏だ。 しかし、まさかクラシックの作曲家のロドリーゴもこんな風に自分の曲がアレンジされるとは思いもよらなかっただろう。 必聴の1枚である。 |
アウト・オブ・ザ・クール評価:★★★★★
まあなんだな、これをはじめて聴いた時は『聴く耳がトレーニング』できてなかったし楽器をマスターしてたわけじゃないから、正直よくわからなかった。しかし時は経た。オーケストレーションの複雑な構成、カラフルなインストルメンテーションなど聴きどころはいっぱいだ。いかんせんこれはアンチコマーシャルな音楽で妥協していないから。そのへんを承知の上で聴いた方がいいかも。一度にたくさんの音(ベース、サックス、エレピ...)をきちんと把握した上で聞き分けるにはトレーニングが必要さ。各楽器のソロパートが複雑にからみあい一つの構成になって統一感を出す様は圧巻。ギルエバンスは相当に耳が鋭く想像力も豊かだったんだね。いまから43年前かね。アレンジを勉強している人はかならず聴く方が!い。 10点中8点 |
プレイズ・ジミ・ヘンドリックス評価:★★★★★
ジミの原曲のイメージがぶち壊れないアレンジ。ギル・エバンスとジミが一緒に仕事をしていたらこうなっていた、いやそれ以上だった、と思わせるアルバムです。 |
スケッチ・オブ・スペイン+3評価:★★★★★
スペインの盲目の作曲家にしてギタリストのロドリーゴの「アランフェズ協奏曲」をマイルスは16分もの長さで繰りひろげる。こんな長さの曲を全くダレることなく演奏できたのは、全盛期のマイルスのたぐいまれな演奏力、センスに加えて、名アレンジャー、ギル・エヴァンスの構成力。当時は誰も発想しなかったような企画で、現在でも斬新な企画だ。目を閉じて聴くと、スペインの乾いた大地が広がる。天才演奏家マイルスと天才アレンジャー、ギル・エヴァンスの歴史に残る共同作業。「カインド・オブ・ブルー」と並ぶマイルスのコロンビア時代の傑作。スペイン風のジャケットのデザインも見事。(松本敏之) |
マイルス・アヘッド評価:
1957年録音の今作は、マイルス・デイヴィスとアレンジャーのギル・エバンスがColumbiaに残した最初の作品だ。1949年の『Birth of the Cool』を皮切りに何枚かの作品を生んだ2人が再び手を組んだ1枚。おそらくジャズのソロイストとアレンジャーのコンビという点では、この2人ほど重要な関係はなかった。エバンスはデリベスの「The Maids of Cadiz」のような新鮮な題材を見つけてきては、繊細なボイシングと斬新なアレンジで、デイヴィスのソロを引き立てるのがうまかった。エバンスのアイデアすべてが、デイヴィスの絶妙の間の取り方や刺激的なサウンドを支えていたのだ。複雑なアレンジを見事に昇華させ(1曲目のジョン・キャリシ作の「Springsville」はその典型)、デイヴィスのソロとチューバやクラリネットのコントラストを作り出している。また熱いスペイン風「Blues for Pablo」は、後に発表された『Sketches of Spain』の序曲とも言うべき雰囲気だ。(Stuart Broomer, Amazon.com) |
ライヴ・アット・モントルー評価:★★★★★
去る者は日々に疎しと言いますが、マイルスはそうならない。このライブ盤を聴くとそう思います。ギル・エヴァンス・オーケストラ+ジョージ・グランツ・コンサート・ジャズ・バンドを二つ一気にまとめてギルのスコアをやるというアイディアはいかにも贅沢思考のクインシーのやることらしいが、しかしこれは上手く行っていると思います。確かに、アンサンブルの乱れがあったり、失敗したなという箇所があるのですが、それが故に、ああマイルスのコンサートを今僕は聴いているんだ、というなんともリアルな体験をすることが出来る。しかし、この録音はあまり良くないと思います。ドラムスのぱさぱさした音やベースのもこもこした音を聴く度に、やっぱり現場で聴きたかったと思いますね。全体的なサウンドは木管楽器的な肌触りがとても気持ちよく、広がりがあるので、尚更残念かな。でも、マイルスのトランペットは良く録れていて、あの電気を帯びたような鋭い、そして何とも言えないオーラを発するあの音が存分に楽しめます。そして、ケニー・ギャレットの彼らしい激しい音、ウォレス・ルーニーのきらびやかな音も楽しい。。ちなみにギルの譜面を起こして手を加えたのは一曲抜かしてギル・ゴールドスタイン。そしてその一曲は"Miles Ahead"でマリア・シュナイダー。やはりですね、いろんな批判をあびようがなんだろうが、これは傑作だと思います。"Summertime"のマイルスのあの音。あれ。素晴らしいです。しかし、どの曲の彼のソロを聴いても鳥肌が立ちます。 |
パリ・ブルース評価:★★★★★
一曲目「ラブバードの蘇生」のエレピのイントロを聴いただけでも、何か期待させてくれるものがあるギル・エバンスとレイシーのデュオ。ギル独特のハーモニー・センスが、シンプルなフォーマットにより、理想的な形で具現化されているリフ。そして、レイシーのインプロヴィゼーション。この一曲だけのためでも持っていて損はないと思う。 |
ルックトゥ・ザ・レインボウ+6評価:★★
編曲指揮ギル・エヴァンス、録音ルディー・ヴァン・ゲルダー、プロデュースはクリード・テイラーと超豪華メンバー。さて歌っているアストラッド・ジルベルトは、ダンナのジョアン・ジルベルトの録音の現場に居合わせて、歌わせてみたら舌っ足らずでカワイイので歌手デビュー。もともとうまくないというか、音程も微妙にはずれる。でも美人。それでブレークしたので超豪華メンバーでの録音とあいなった。アストラッドに比べりゃ阿川泰子だってうまい。もし、アストラッドが天童よしみのようだったら、こんなアルバムは作られなかったにちがいない。まったく美人はトクだね。歌の実力は言わぬが花。BGMにはいいかも。(松本敏之) |
ライヴ・アット・モントルー・フ評価:★★★★★
去る者は日々に疎しと言いますが、マイルスはそうならない。このライブ盤を聴くとそう思います。ギル・エヴァンス・オーケストラ+ジョージ・グランツ・コンサート・ジャズ・バンドを二つ一気にまとめてギルのスコアをやるというアイディアはいかにも贅沢思考のクインシーのやることらしいが、しかしこれは上手く行っていると思います。確かに、アンサンブルの乱れがあったり、失敗したなという箇所があるのですが、それが故に、ああマイルスのコンサートを今僕は聴いているんだ、というなんともリアルな体験をすることが出来る。しかし、この録音はあまり良くないと思います。ドラムスのぱさぱさした音やベースのもこもこした音を聴く度に、やっぱり現場で聴きたかったと思いますね。全体的なサウンドは木管楽器的な肌触りがとても気持ちよく、広がりがあるので、尚更残念かな。でも、マイルスのトランペットは良く録れていて、あの電気を帯びたような鋭い、そして何とも言えないオーラを発するあの音が存分に楽しめます。そして、ケニー・ギャレットの彼らしい激しい音、ウォレス・ルーニーのきらびやかな音も楽しい。。ちなみにギルの譜面を起こして手を加えたのは一曲抜かしてギル・ゴールドスタイン。そしてその一曲は"Miles Ahead"でマリア・シュナイダー。やはりですね、いろんな批判をあびようがなんだろうが、これは傑作だと思います。"Summertime"のマイルスのあの音。あれ。素晴らしいです。しかし、どの曲の彼のソロを聴いても鳥肌が立ちます。 |
アウト・オブ・ザ・クール評価:
ギル・エヴァンスは、ジャズ史上屈指の名アレンジャー、そしてコンポーザーとして評価が高い。音の魔術師と呼ばれるように、ギルのオーケストレーションは色彩感覚豊かで、通常のビッグバンド・サウンドとは相当趣が異なっている。 また、伝統的なビッグ・バンドとは違う独自の楽器編成もギルの特徴だ。たとえば60年録音の本作は、ビッグ・バンドといっても通常より少ない14人編成。それでいて、エルヴィン・ジョーンズとチャーリー・パーシップの2ドラムス編成。バリトン奏者がいなくて、代わりにチューバとバスーンを加え、サックス奏者には持ち替えでフルートとピッコロを演奏させる、というユニークな編成だ。 ジミー・ネッパーのトロンボーンソロをフィーチャーした<2>。ロン・カーターのベースソロを巧みにあしらった<3>。ほか、どの曲にもギルらしい斬新なアイデアが詰め込まれている。マイルス風なジョニー・コールズのトランペットや、ケニー・バレルのようなレイ・クロフォードのギターソロも、なかなか印象的だ。(市川正二) |
Gil Evans' Orchestra Plays the Music of Jimi Hendrix評価:★★★
Gil Evansといえば、Jazzでは一流のオーケストラ編曲者、指揮者として名をはせている。このCDも当然一級品なのですが、Jimi Hendrixの魅力の大きな部分は、爆発的あるいは暴力的ともいえる圧倒的なパワーではないだろうか。それは、場合によっては、各楽器の音量バランスを崩しても表現しようとするJimiの演奏、インプロビゼーションだと思う。その点、Gilの編曲、演奏は、破綻をきたすことなく、ジェントルな作品にまとまっており、いわば、正装したJimi Hendrix(そんなのは見たくない)というものに感じられる。Jimiが死ぬ前には、Miles Davisと共演する計画があったというが、彼の死により、実現できなかった。当時のアグレッシブなMilesとなら、凄い演奏になった筈で、残念しごくです。 |
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