チェット・ベイカー・シングス評価:★★★★
ウエスト・コースト・シーンで人気先行の感がなくはないが、チェット・ベイカーというトランペットの魅力は、テクニック云々を超越したアンニュイなムードとエモーショナルなフレーズだといえる。その源泉はマイルス・デイビスだが、マイルスよりもさらに甘い情感とメロウな音色であり、フレーズも音を節約し抑制が効いている。そして、このアルバムの最大の特徴と魅力はベイカーのボーカルが聞かれる点である。トランペットとボーカルという組み合わせは古くは、ルイ・アームストロング、ディジー・ガレスピーなどハッピーなイメージが中心だったが、ベイカーのそれは中性的なボイスとメランコリックな雰囲気で、ややもすると際物的においがする。正統派ジャズから逸脱した怪しげなムードをたたえているが、それだけにジャズの不健康な底深さを感じさせる。私生活でも麻薬との関係が付きまとっていたベイカーには、悲しくも弱い人間性も垣間見えるのである。ライク・サムワン・イン・ラヴ、マイ・アイディアル、バット・ノット・フォー・ミーなどいずれもスタンダーなナンバーで親しみやすいが、マイ・ファニー・ヴァレンタインやザ・スリル・イズ・ゴーンなどに聞かれる退廃的なムードは、深夜、アルコールを伴った場所という限定付き出ないと聞けないほど危ない雰囲気なのだ。 |
オン・アラジン Vol.1 ~リターン・オブ・アート・ペッパー評価:★★★★★
1956年ある事情で刑務所に入り、刑期を終えて出所した後での録音。アラディンという会社のために録音したものをコンピレーションしたもの。なので純粋なアルバムではない。まあ本調子とはちょいと言えないが、演奏したい情熱は感じる。出所した後でも根性で演奏するアート。コアなファン向けであると思われる。この人はたいへんな人生を送られておりますね。Casual listenerであれば他のアルバムを聴いたほうがいいのでは。Die-hard listenerなら聴くべし。いいインプロもちょこっとあります。 10点中6点 |
チェット・ベイカー・シングス評価:★★★★
これだけ多くの人がレビューを書きたくなるCDだと一度聴き納得。ジャズマンは結構歌っていて、私も好きなケニー・バレルの「Lucky So & So」やグラディ・テイトの「By Special Request」などあるけれど年齢を重ねたベテランが深みのある味わいを出していて、チェットのように若い年でクールに歌うのはあまり聴かない。聴いていてふとニルソンの「As Time Gose By」を思い浮かべた。静かな夜に少しアルコールなど、そばにおいて聞く音楽。 |
チェット・ベイカー・シングス&プレイズ評価:★★★★★
チェット・ベイカーの50年代のボーカルアルバムといえば、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を収録している「シングス」(元々モノラル録音であるが、製品によっては、オーバーダビングを施したステレオ盤があるので、注意を!無論モノラル盤が良いのですが)が筆頭に挙げられますが、私は、中性的なボーカルと格好いいトランペット演奏をしているこちらが好きです。「シングス」は甘さが強すぎてどうも、と思いますが、こちらのアルバムの一曲目「レッツ・ゲット・ロスト」の速いテンポでの甘すぎないボーカルと子気味良いトランペットにまいりました!一曲目から引き込まれます。案外、「シングス」の影に隠れがちですが、こちらのアルバムは味わい深く、よりジャジーな演奏に魅力を感じます。是非、「シングス」を聴いたら、こちらも聴く事をお勧めします。良いですよ! |
オン・アラジン Vol.2 ~モダン・アート評価:★★★★★
アートペッパーはリーダーを1枚しかもってなくて、大した評価もできないんですが、全体的になんとなく雰囲気のある人だけどいまいち飽きちゃうなーと言う感じでした。 このアルバムはいつか聴こう聴こうと思ってやっと聞いたのですが、ぶっ飛びました。ラスフリーマンのピアノも含めウエストコーストJAZZに偏見を持っていたことを深く反省させられた一枚です。 これからペッパーモノ、買いあさる事になりそうです。 |
タイム・スリッピング・バイ評価:★★★★★
当初はJAZZ系列扱いもされていたようだが、れっきとしたAORかと思う。アップテンポで明るい曲や哀愁を帯びたクールな曲など、全ての曲が独特の雰囲気を持っている。個人的には−と−がお薦めだが、壮大なBGに圧倒される−や、ラストの多重アカペラも捨てがたい。奥の深いアルバムである。なお、現在は発売されているか不明だが、Luxのコマーシャルで流れていた「You're so beautiful」も爽やかなバラードなので、どこかで見かけたら入手される事をお薦めする(こちらはシングルCDでした)。 |
ツーリスト・イン・パラダイス評価:★★★★★
ギタリスト=ラスフリーマンのソロプロジェクト=リッピントンズ。コマーシャルなフュ−ジョンをやらせるとやはりこの人がうまい。今作品はサックスにサンボーンより歌心があるんじゃないかといわれてる、ブランダンフィールズを全面的にフィーチャーしてのもの。私に言わせると、ラスフリーマンはイエスにおけるトレバーラビンと同じだ。ポップさ加減はすべてラスフリーマンによるしかけだ。しかし憎い程に商売上手だ。うう−んうまい、使っているシンセ類がすべて日本製というのがみそだ。お洒落なサウンドを演出するのにビンテージキーボードのようなぶっとい音や存在感のあるやつはいらないからだ。さすが、ラスフリーマン、わかってらっしゃる。全体的にとても聞きやすく、サックスが表情豊かなのですごくいい。ヒットするアルバムの典型だ。ドライブのお供にぜひいかがですか? |
カーヴス・アヘッド評価:★★★★★
リッピントンズと言えばラス・フリーマン。90年代は聞きモノとしてドJAZZに走っていた為、聞き始めたのはつい最近です。いいっすね−。なんかこの人のアレンジこそ西海岸Fusionの代表って感じがします。もしもJeff Lorberがカリフォルニア生まれだったら・・・。そんな明るくて元気がでそうな曲ばっかり。けど転調多すぎ。でもスマートでシンプルに聞ける。おまけに口ずさもうとしても実はどうして中々口ずさめない。だけどポップでキャッチーでウキウキしてくるんだよね。いやはやこの人の作曲、アレンジセンスには脱帽。 |
聖ジェームス・クラブへようこそ評価:★★★★
マルチインストルメンツ奏者でもあり、コンポーズ/アレンジにも長けるR.フリーマン率いるリッピントンズの4作目('90年作)。 西海岸的なカラリとした爽やかさと柔らかさ、それでいて少しロックテイストやサンバ、カリビアンなテイストも織り交ぜた音作りは”定型”といってもいいでしょう。人によっては、この辺りの”整いすぎた(?)”サウンドを毛嫌いするかも知れませんが、そこはR.フリーマン。機械的な音には最も向かない(と思う)リード系については、J.カシワ、K.ウェイラム、B.フィールズといった面々をうまく使い分け、決して凡庸な音楽にならない工夫は万全です。 #個人的には[6]でのK.ウェイラムのブローが好きです。 その他、[9]ではJ.サンプル(p)が、[6][7][9]ではV.カリウタ(ds)等が参加。ボーカルでは、前作("Tourist in Paradise")でも参加していたC.アンダーソンのほか、本作ではP.オースティンも参加し、作品に花を添えています。 #欲を言えば、S.ベイリー(b)のフレットレスベースが #もう少し聴きたいのですがねぇ。 |
チェット・ベイカー・シングス評価:★★★★★
チェット・ベーカーはトランペッターとしても人気があるが、ヴォーカリストとしても、たとえば「男性ヴォーカル・ベスト10」を選ぶとまちがいなくこの1956年録音の1枚が入る。ピアノは名手でチェットの友人のラス・フリーマン。チェットの十八番のマイ・ファニーバレンタインを聴いて、ある女性は「セクシーで、鳥肌が立つ」とおっしゃる。勝負下着なるものがあるそうだが、恋人へのプレゼントにもおすすめ。もちろん一生モノの愛聴盤になること、まちがいない。これを聴いてセクシーだと思わなかったら、悪いことは言わない。月にでも移住することだ。(松本敏之) |
ザ・リターン・オブ・アート・ペッパー評価:
アート・ペッパーは麻薬のため入院生活・刑務所生活を何度も経験した典型的な破滅型ジャズマン。そして56年に何度目かの刑期を終え社会復帰を果たし、ジャズ・ウエストというマイナー・レーベルに録音したのが本作。 刑務所暮らしの成果かどうか、そのあたりは不明だが、出所後のペッパーの演奏はそれ以前に比べ、より深みを感じさせ説得力をもつようになった。その結果、56年から57年にかけて生涯を代表する名作を次々と録音したが、これはその先陣を切ったアルバムとしてファンに愛されている。曲はスタンダード2曲+オリジナル8曲という配分。ジャック・シェルドンとの2管クインテット編成のため、アンサンブルの楽しさも満喫できるしゃれたウエスト・コースト・ジャズ。陽気なシェルドンのトランペットとナイーヴなペッパーのアルトとのコントラストも楽しい。紙ジャケットによる今回の発売はリマスタリングによる音質の向上が魅力で、艶やかなアルトの音に引き込まれる。(市川正二) |
グローヴァー・ワシントンJr.トリビュート−グローヴァーに愛をこめて評価:★★★★★
グローバーワシントンへのトリビュートアルバム。いかに影響力があったかがわかる。はつらつとした演奏をみんな展開。やはりグローバーの音は他の人には出せない暖かみのあるものだったのがわかる。 参加陣はかなり豪華。スムーズジャズ入門盤に最適。 10点中7点 ブームになる前からスムーズジャズだった人物 |
TOUCH ウィンダム・ヒル・ベスト・オブ・ギター・コレクション評価:★★★★★
アコースティックギターの響きがお好みの方にはたいへんおすすめの1枚です。 |
チェット・ベイカー=ラス・フリーマン・カルテット評価:★★★★★
サマー・スケッチがいいなぁ。チェットのトランペットの音がスーッと現れては消えてゆく。 ラス・フリーマンの日の陰りを感じさせるピアノもいい。 静かで、穏やかな気持ちになれます。 |
オール・スルー・ザ・ナイト評価:★★★★
ジュリー・ロンドンは容姿端麗で色っぽい、アンニュイなだけの 歌手ではありません。大人世代の男性に人気が高いのは事実ですが、 アーティストとしての完成度は実はとても高い歌手だと思います。日本の女性ジャズシンガーの多くが、目標として彼女のような 少しささやくような、そして捨てた様な歌い方をマネしています が、彼女は決して、色っぽくアンニュイに歌うことを目標とは していないと思います。ご自分のセンスで一生懸命歌った結果が そうなったまでのこと。これは大きな違いです。 雰囲気ばかりを出そうとするといい歌にならないことがほとんど だけど、いい歌には雰囲気はセットでちゃんとついてくるんですね、 というようなことを私は彼女の歌を聴いていて、思います。 聞いてみて、そうとは思えないかもしれないけど、実はとても歌が お上手で、ジャズフレーバーがたっぷりです。 ほんと、美人で特もしているでしょうが、そこばっかり取りざたされ て、彼女の技術的なことはあまり話題にならないところは、可哀想 とも思います。 なんだか、全然レビューになってませんが、魅力的な歌手、魅力的 なアルバムですよ。声の低い色っぽい歌い方の好きなお父さんも 満足でき、あまり細かいテクニックをいっぱい使わないジャズが 聞きたいという方にも、お薦めですね。 |
チェット・ベイカー・シングス(ステレオ)評価:★★★★★
オリジナルがモノラル盤なので、この擬似ステレオ盤(ギター・オーバーダブ) は、厳しいファンの間では異端視されていました。さらに良質のオリジナルマスターが倉庫から発見された事により、擬似ステレオ盤の存在価値は益々危うくなりました。(まぁ−そりゃそうだろうなぁ・・・)しかし本作では「リマスター・紙ジャケ・8ボーナストラック追加」により、完全にその存在意義が高まりました。もともと"ジョー・パス"のギター・オーバーダブ自体、そんなに悪い出来では無かったんですけどね。もちろんその事はオリジナル重視の"Jazz"世界では当たり前なんですけれど、本作のような再発は歓迎です。だって、はっきり言って良いですもん、このアルバムは。 かなりCDショップで売れている事が!の証ですよね!お勧めです!! |
キー・ウエスト・サンセット評価:★★★★
巧みなベースさばき、特にフレットレスベースを操る技術にかけては他に類を見ない(と個人的には思う)S.ベイリーのソロ第一弾('92年)作品。 S.ヘンダーソン、L.カールトン、R.フリーマンなど、ギター陣も強力です。とは言え、全体を通して聴いた印象では激しいロック調ではなく、非常に聴きやすいソフトタッチな作品です。 ハーモニクスを多用する流麗なプレーはやはり特筆ものでしょう。多少曲調は異なりますが、M.イーガンやJ.ハスリップ系の音(適切な表現じゃないかも知れませんが)が好きな私には好感触です。 [1]の美しさ、[4]のモダンなレゲエタッチの曲、[7]ぼビートルズカバーもいいのですが、[8]でのD.ガレスピをゲストに迎えての作品が妙に気に入っています。枯れまくったD.ガレスピのミュートしたtp、その背後で短めながらハードなフレーズを入れるS.ヘンダーソン。一見、ミスマッチのようなのですが、これがノリノリです。また、美しさなら[9]もお勧めです。D.ベノワ(p)とS.ベイリーのデュオですが、溜息ものです。 激しいのに耳に障らない、穏やかなのに弱々しくない。うまいですね。 |
チョイス評価:★★★★★
日本では、なぜかテナーサックスと言えば、コルトレーンとソニー・ロリンズばかりがもてはやされる。もちろんロリンズはすごいが、ズート・シムスの渋さも聴いて欲しい。1959年録音のこのアルバム、ポピュラーな曲「フラミンゴ」、ズートのオリジナル曲「レッド・ドアー」、ズートは吹きまくるのではなく、淡々と吹く。パブロ盤のガーシェインの曲ばかり演奏したアルバムとともに、ズートのベスト盤の一枚。共演者は、ジム・ホール(ギター)、レッド・ミッチェル(ベース)ジェリー・マリガン(ピアノ、バリトン・サックス)と実に豪華。初めてズートを聴く人もズートの魅力にまいるはず。思わず酒も進む。(松本敏之) |
ジェントル~角松敏生プレゼンツ GRPベスト・コレクション評価:★★★
やはり 角松さんの選曲は最高です 安心して聞ける大人の感じです。 |
聖ジェームス・クラブへようこそ評価:★★★★
一曲目のタイトル曲「聖ジェームス・クラブへようこそ」からもうワクワクします!リッピントンズがラス・フリーマンの傑作です。テレビやラジオで「あっ、コレ聴いたことがある」っていう方もたくさんいらっしゃると思います。1990年発表のGPR移籍第二弾で、西海岸フュージョンのウマ味たっぷり。素直でシンプルなメロディ・ラインは、今聴いても十分説得力を持っています。 |
再会評価:★★★★
正直最初このアルバムを聴いた時にはとまどいました。 「ミーツ・ザ・リズムセクション」や「モダン・アート」の演奏とは違って、かなり渋い、落ち着いた演奏になっているからです。しかし悪い意味ではありません。何度も聴くと、無駄を省いた非常にクールなプレイに徹していることが分かります。「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」なんて、夜照明を落として、少しステレオのボリュームを大きくして聴いたら背筋がぞくぞくすると思います。 ペッパーファンには、前期ファンと後期ファンがいるようですが、私はそれぞれにちがった味わいがあって甲乙はつけられないと思います。前期のものしか聴いたことがないかたは、一度この作品を聴いてみるのもよいのでは? |
ドライヴ評価:★★★★★
方向性/サウンドプロダクションはまんまリッピントン。ソロの意義はよりギターをひきまくるのかと思いきや。安全路線に出た。 リッピントンでのアルバム落ちしたような楽曲の印象。 商売上手/戦略家であることを印象づける。 ラスフリーマンに対するイメージは変わらず。イメチェンしてない。ゲストは豪華。ジェフローバー/クリスボッティー/バリーイーストモンド/ウイルリー/ジェイソンマイルズ/ジェフミロノフ/バディーウイリアムス。スムーズジャズ村全員仲良し総出の定例演奏会の様相 10点中5点 |
サーフ・ライド評価:★★★★★
初期アートの代表作。まだ元気だったハンプトン・ホーズの好演に支えられ、軽く躍動感のあるプレイを展開している。 後藤雅洋氏も述べているように、アート・ペッパーのジャズは白人にしては黒っぽい。あの「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」で有名になってしまったアート本人は心外だろうが、日本人は特に旋律の美しさを以てジャズの魅力と捉える向きが多いように思う。しかし、アートのジャズはむしろチャーリー・パーカーに繋がる本格派、つまりアドリヴ一発勝負のジャズなのだ。一曲一曲が短いだけに、このアルバムではその面がはっきり浮き彫りにされている。わたくしが本作を強く推したいのもそれが理由だ。 同じ白人ジャズ、アドリヴ重視の本格派でも、リー・コニッツとはそのプレイ・スタイルは大きく異なる。コニッツのジャズがトリスターノ理論に支えられた、頭脳プレイの側面が大きいのに対し(しかしあの切れ味は凄みがある)、アートはもっと本能的に吹いている。その点でもパーカーに通じるところがある。天才型のアーティストだったのだ。 この切れ味に渋い内省味を加えた大人のジャズが「モダン・アート」だが、あの最高傑作には敵わないものの、これもまたアートの魅力ある側面であることは間違いない。名盤だ。 |
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