手塚さんは宗教色の濃い作品を残していますが、火の鳥は特にスピリチュアルな作品だとおもいます。生命と人間の葛藤をテーマに火の鳥(永遠の命の象徴)を通して古代から超未来までを描きます。「意識しない」共通の意識の中に火の鳥は生き続けています。本書はソフトカバーの大判で読みやすく、作品にたいする著者の想いも各巻に掲載されています。
カラー挿絵も1枚入っています。プレゼントにも向いていると思います。
この第1巻は火の鳥の物語の出発点です。古代のヤマタイ国を舞台に、永遠の繁栄を求める人間の欲望、民族の盛衰の流れに抗う、血と命の継承を火の鳥が静かに見つめます。 「死んでもまた産めばいい」 命の原始的なしぶとさ、たくましさを強く感じる内容です。
偶然生き残った、マサトは、火の鳥からの啓示を受け、不死の身体となる。たった一人生き残った、マサトの数十億年にも及ぶ孤独と苦悩。そして、人類の文明の意味性についても警鐘をならす、遠大なテーマを含む作品。
宇宙編:SF。これも壮大にして恐ろしい話だ。宇宙飛行中のロケット内で牧村が殺される。それと同時にロケットは修復不可な傷を受け、乗組員4人は個人ボートで各々が脱出を図る。団結して飛行してたがやがて一機二機と離れていき・・・。牧村は「望郷編」などでも登場した宇宙飛行士。、また御なじみ猿島も登場。ここではある惑星で虐殺を犯したものの「円状の未来」になる業、そしてその罪を背負った無罪の人間が永遠に背負う羽目になった業、などなど恐ろしく後味の悪い締めくくり方をされる傑作
村人からの逃走中、そっと助けてやった天道虫の精の変化(へんげ)「速魚」を斬り殺してしまった我王が、悔恨のあまり絶望におちいるまではとてもうまい話なのだが、その後、手塚の仏教観とか輪廻観とかが気になって物語の中に今ひとつ入りこめなかった。
手塚の輪廻観は福禄寿(子宝・俸禄・長寿)こそ人生最大の幸福とする世俗思想を取りこんだ中国仏教式の輪廻観で、人間に生まれ変われれば最高というものである。本来の仏教は、人間に生まれ変わろうと何に生まれ変わろうと、輪廻から逃れられないこと自体を苦と見なし、輪廻から解脱することを目指す教えだったというではないか。人間中心主義、生命万歳、が露骨すぎて鼻についた。ひたすら仏教を政治の道具視するイデオロギーも露骨で、正直なところ、そんな政治的絵解きを聞くために買ったんじゃないよという気にさせられた。
人間中心主義、宗教は政治の道具だよ観そのものが根本的に間違っているというのではない。作品の中でそんなこと大声で唱えるなよ、ぶちこわしだよ、と言いたいまでである。
人工的に新たなる憎しみや悲しみを増やしているだけなのではないだろうか?クローン人間は人間として認められるのか?手塚治虫が問いかけている問題は、初の人間クローンを成功させた今まさに、この時代にこそ答えられるべきなのかもしれない。結局は何もかも金儲け主義で”人の心”が優先されてないのかもしれないし・・・
金儲けに目がくらみ、自分のクローン達と共に”ハンター”達に”ゲーム”として命を追われてしまう事になる、主人公・青居は皆の静かなる代弁者なんだろう。
このデータは、06年02月12日0時52分20秒現在のデータであり、現時点では変更されている可能性があります。