青年誌に連載が移っても、佐々木倫子はあくまでマイペースにあの独特の世界を展開しています。最近、青年誌が殺伐としてきているように思えるので、このような漫画は一服の清涼剤、貴重です。
新米看護婦、似鳥ユキエと似鳥が勤めるK病院の入院病棟に、時々(たぶん)おこる事件がこの漫画に描かれています。
患者さんに「注射がへた」と言われて、仕返しに(?)世界一痛い注射法を考えたり、好きな作家太宰治にそっくりの患者さんにメロメロ(担当の先生も)になったり。力仕事に「ヨイトマケの歌」(え−んやこ−ら)歌ったり。
でもこの巻の一押しは「病院という舞台」です。手に汗握ります。そして泣けます。
似鳥は救急車で運ばれたり、美人の患者さん(フリーライター)が暴く入院棟の秘密があったり、K病院はこの巻でもにぎやかです。
お坊ちゃま育ちの研修医(と似鳥)ととび職の親方の対決。江戸っ子だったら(いえ、他の出身者ももちろん!)ほろっとします。そして癌だと思っている胃潰瘍のラガーマン、はたしてどうしたら胃潰瘍と納得させられるのか?
この巻で私の一押しは、「患者さんのご家族」。家族って、なんだろう。ちょっと考えさせられてしまいました。
不摂生なモデルさん、3000円の松坂牛のステーキ。親睦(?)院内バレーボール大会で似鳥と宿命の対決をすることになる、親切な君崎さんと、強気で意地悪(?)な日向寺さん。そして病院で向かえる一月元旦。
父方の祖母を亡くしちゃったけれど、似鳥は本巻でも元気です。
そんな似鳥も、スタッフ誰もが縮み上がる「もと看護学校教官」本宮さん(同業者)に担当をまわされ、「おたんこ」振りにも拍車がかかる!隣のベッドの石川さんはそんな似鳥が心配そう・・・大丈夫?
それから脳卒中患者氷室さんのリハビリしないわけ、アル中の大星さん、
なかでも手ごわいのは明治生まれの清水さん。嚥下訓練(飲み下し)を拒否し、「なにも喉を通らなくなったらそれが死に時だ」と明治生まれのさむらい(あれっ?)の気骨にみんなタジタジ。でもなんか変?
その他手ごわい患者さんが続出。ナースの気持ちも患者の気持ちも分かってあげたい第4巻です。
看護学校生(二年前は似鳥もそうだった)の研修にあたった生徒は、なんでもてきぱき、優等生の一条さん。力技の似鳥と対決!負けるな似鳥!
病院内の怪情報、「六○一号室に入ると生きて出られない」空いた六○一に移されたのはこの病院の守衛さん。思わぬ一言からデマがデマを呼び、病院内は大騒ぎ!
症例検討会では、「協力し合わねばならない」医師とナースの大舌戦。
そして新人も入って看護婦2年生になった似鳥に立ちはだかる試練とは?
「恨みながら死んだ人」、泣けます。
白衣の天使に尊敬と愛情を。最終巻です。ご堪能下さい。
このデータは、06年02月12日0時44分22秒現在のデータであり、現時点では変更されている可能性があります。