手塚作品の最高傑作はどれか、などというのはヤボな質問だと思いますが、この「陽だまりの樹」を挙げる人もいるのではないかと思います。まだという人は、是非読んでみてください(ついでに、「ブッダ」や「アドルフ」なども大変優れた長編です)。
かくいう私も28歳という、まだ若者の領域に入る仲間です。「自分は何をしたらいいのかわからない」「親は何も教えてくれない」「今が楽しければそれでいい」など人それぞれ価値観は様々です。しかし、誰しもが将来を考えたり、過去を振り返ったことがあるはずです。それもそのはず。人である以上、私達は“時間の流れ”すなわち“歴史”の上で生きているのですから。 悩んだり、自分の将来を考えたい、と思ったときには、先人の歴史に目を向けてみてください。そこから学び取れることはたくさんあるはずです。私は「陽だまりの樹」から多くのことを学びました。人の命の尊さ、人脈の大切さ、先人の勇気・・・。 きっとみなさんに将来へ突き進むパワーを与えてくれる事でしょう。
このシリーズを買うならば、小学館文庫の方をお薦めします。セピア調の写真入りのカバーがいい。第3巻の巻末解説で横内謙介氏が、手塚治虫と三島由紀夫を対比しているのがたいへん興味深かったです。
良庵は大阪より江戸に戻り、嫁をもらい父の仕事を手伝うようになる。医療業界にも政治の大きな渦が押し寄せ、彼等蘭方医の人間も翻弄されるようになる。 万次郎も自分の知らないところで、時代の波にまきこまれながら、日々を生きぬいている。
この歴史のうねりに、またしても良庵や万次郎は翻弄されるようになるのである。
しかしながら、水戸浪士による桜田門外の変により井伊大老は死に、国の行く末はまたも変わり行くのである。その中で、万次郎は心に決めていたおせきさんを親友ヒュースケンにより汚され、失う。 良庵は偉大なる父良仙の死を見取り、自分が良仙の名を襲名することとなった。
物語はいよいよフィナーレを迎えるべく盛り上がってゆきます。
このデータは、06年02月12日0時52分8秒現在のデータであり、現時点では変更されている可能性があります。