はっきり言って本作は、「ジミー」さんの”ベスト・ワーク”です!!この後の72年の「片腕ドラゴン」よりも、75年の「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」よりも、73年「英雄本色」(日本未公開)よりもずっといい!!ラストの言葉が通じぬ事からの誤解による切り合いは涙無しには見られません・・・。
北野武主演最新作の登場でブーム再燃(?)の気配の!ある映画版「座頭市」の、これは文句無しにオススメの1本です!「ジミー・ウォング」勝利バージョンが収録されていれば最高ですが、中々これは困難かと思われます・・・。「評価」は国内正規DVD化されるだけでもほんと感激モノなので、結果文句無しで星5つです。
見どころの例を挙げるなら、殺陣の充実が尋常ではない。
水中戦や、暗闇から不意に出現してじわじわと敵を斬り捨てて行くゲリラ戦を展開する、第7作『座頭市あばれ凧』。ライバルの用心棒に平幹二郎、関所に殴り込んで代官まで全滅させる大立ち回りは、第9作『座頭市関所破り』。三木のり平をゲストに迎え、タイトル通りの「二段斬り」を披露する第10作『座頭市二段斬り』。藤山寛美のニセ座頭市が登場、初めて海にやって来た座頭市が、投網やモリといっ!た武器で攻撃される第11作『座頭市逆手斬り』。
しかし、何と言っても白眉は、三隅研次監督による次の2作。盲目の市を斬るために、敵がいろいろな作戦で居合を封じようとするのはシリーズの恒例となるが、初出は第8作『座頭市血笑旅』での火攻めであろう。実際に衣装も燃えている、危険かつ迫真の戦い。殺陣意外にもこの作品は、市が赤ん坊を連れて旅をする姿を描く、人情に溢れたシリーズ屈指の傑作である。さらには、名優・成田三樹夫が将棋好きのニヒルな浪人として登場、市と一緒に旅をしながら、徐々に対決へと向けて緊迫して行く、スリルに溢れた第12作『座頭市地獄旅』。市と門付け芸人の母子との交流に心暖まりつつも、やはり何と言っても、成田三樹夫の殺気に尽きる。寒暖を備えたストーリーと、シャープな映像。
第1作では全部で3人しか斬らなかった市が、シリーズの展開につれて大量殺戮の超人になるのは評価の分かれるところではあるが、基本的な精神は一貫していると考える。常に最後には、ひとりで苦悩しながら去って行く座頭市の後ろ姿を見れば、それは明らかなのではないか。
その上で、内容もバラエティに富んでいる。第1作での名演でシリーズに名前を刻んだ天知茂が、ライバルの用心棒役で再び出演、第13作『座頭市の歌が聞える』。「どこへ行くの?」とギョッとさせられるタイトルながら、霊場参りを思い立った座頭市が四国の悪党と対決、第14作『座頭市海を渡る』。無!法な殺し屋集団に狙われ、死地へと赴く座頭市の危機一髪、ヒロイズム全開の第18作『座頭市果し状』。三田佳子をヒロインに迎え、元日の諏訪明神、初日の出と一番太鼓の轟音をバックに佐藤允と緊迫感溢れる決闘は、第19作『座頭市喧嘩太鼓』。
しかし、特に注目したいのは以下の2作。まずは第15作『座頭市鉄火旅』。数知れぬ敵を斬り捨てた座頭市の仕込み杖にも寿命がきた。「あと一人斬ったら必ず折れる」と言われた市は、これを機会にやくざから足を洗おうとするが、斬らねばならない悪党の存在がそれを許さない。無敵の仕込み杖が折れるという設定、抜くに抜けないピンチに興味をそそられる。刀鍛冶の老人に東野英治郎、旅芸人を演ずる水前寺清子は歌も披露。
さらに、言わずと知れた剣劇スター・近衛十四郎−をゲストに迎え、シリーズ屈指の立ち合いを見せるのが、第17作『座頭市血煙り街道』。殺陣の名手を数えるならば、近衛・勝は必ず挙げられる、達人同士の対決。殺陣師による段取りを一切決めず、ぶっつけ本番で臨んだという手に汗握る戦いは、まさに真剣勝負。
このデータは、06年02月12日1時13分27秒現在のデータであり、現時点では変更されている可能性があります。